【side 夜明】 寝室を出てリビングに行くと、入ってきた俺を見て竜牙が顔をしかめた。 「夜明?」 どうして出てきたんだと言いたげな顔。 「鈴蘭様の様子は?」 「……何も変わらない」 「今は眠っていらっしゃるんですか?」 「いや。……ひとりにしてくれと言われた」 そう答えると、竜牙は一層眉間のしわを深めた。 「それで、言われた通りにひとりにしたと?」 「ああ」 そうするしか……なかった。 あそこで断って居座れば、もっと鈴蘭に警戒されていたかもしれない。