魔王子さま、ご執心!④ ~一途な魔王子さまは永遠の愛を誓う~

「ちっ」という小さな舌打ちの音が聞こえた。


「……やっかいな妖術だ……」


 あれ……今の、司空さん?


 いつも温厚な司空さんが、舌打ちをするなんて……聞き間違いかもしれない。


「鈴蘭、一度別の部屋で休ませる……」


 美虎ちゃんが私の肩を抱いて、そう言ってくれた。


「夜明さんに……会わせていただけませんか……?」


 きっと、みんながいるのに今私が不安でいっぱいなのは……ここに夜明さんがいないからだ。


 私の言葉に、司空さんの表情が陰ったのがわかった。


「鈴蘭様、この男が夜明です。私があなたに、嘘をつくと思いますか?」


 ……っ。


 いつもとは違う、強い口調だった。初めて……司空さんを怒らせてしまった。