魔王子さま、ご執心!④ ~一途な魔王子さまは永遠の愛を誓う~

『夜明さんっ……』


 満面の笑みで、俺の名前を呼んでくれた鈴蘭の姿を思い出した。


 柄にもなく溢れそうになった涙を堪えながら、あの笑顔をもう一度見たいと切実に願った。


 


 百虎の妹と雪兎が来て、俺は一度席を外した。


 今は雪兎たちがいるからか、助けを求める声も止まっている。


 それに、心底安心した。


 いつも鈴蘭は、“俺”の名前を呼んでいたから。
『鈴蘭が助けを求めれば……どこにいたって駆けつける』


 俺のあの言葉を、信じて。


 そばにいるのに、何度も俺の名前を叫ぶ鈴蘭に……俺はどうすることもできないでいた。


 リビングに行くと、竜牙と一緒に百虎の姿もあった。


「やっほ、夜明」


「……ああ、お前も来ていたのか」