「奪われさえしなければ……契約を結ばれることもないでしょう」
俺たちのミッションは、鈴ちゃんを白神から守ること。
記憶が戻るまでは……部屋から一歩も出さないほうがいいだろう。
向こうも、鈴ちゃんを奪う機会を見計らっているはずだ。
どこで監視されているかわからない。
「妖術を解く方法……鈴蘭様の記憶が戻る方法を、探しましょう」
「うん、そうだね。俺たちはそこに注力しよう」
頷いた俺を見て、雪兎が口を開いた。
「白神に自供させるのは?」
「多分無駄です」
俺の代わりに、竜牙くんがきっぱりと答える。
「どうしてですか?」
「相手は、夜明の能力を知っています。記憶を見る能力」

