たいした情報を得られないということはわかっていたから、わざわざ呼びだす必要性も感じていなかったが……。


「殺されたくなければ、余計なことは話すな」


「わかりました……では、簡潔に言います」


 何を言いにきたのか……まあ、見当はついている。


「あたしは、鈴蘭の居場所と妖術師の居場所をあなたに教えることができる」


「お前は知らないはずだ。記憶がないだろう」


「その通り。でも、あたしが合図をしたら来るっていう約束だけはあるんですよ」


 そんなところだろうと思った。


「だから、それを教えてあげます」


 白神を焚きつけたのは、どうせこいつだ。


 自分にメリットがない取引なんか、こいつはしないだろう。