しおらしいか弱い女を演じながら話すそいつに、今にもこの苛立ちをぶつけてやりたくなる。


「取り繕うのはいい。とっとと話せ」


「…………」


 ゆっくりと顔を上げた女……双葉星蘭が、口角をつり上げた。


「……ふふっ、こんな簡単に招き入れてもらえるとは思ってませんでした。よっぽど鈴蘭が大事なんですね?」


 さっき、学園経由でこいつから連絡が入った。


 双葉星蘭から連絡をもらった学園側が黒闇神家に連絡を入れ、俺は竜牙伝いに呼ばれた。


 元々、こいつが今回の件に関わっていることは知っていたが、こいつに鈴蘭の居場所を問いただすつもりはなかった。


 口を割らせることは簡単だが、どうせこいつも居場所は知らないだろう。