一体……この黒髪の人は、何者なんだろう……。


 ちらりと視線を向けると、彼も私のほうを見ていて、視線がぶつかった。


「……っ」


 私を見て、うろたえている彼。


 どうしてこの人が、こんな顔をするんだろう……。


 彼を見ていると、どうしてか……罪悪感が込み上げてくる。


 理由がわからなくて、フイッと視線を逸らした。


 罪悪感を覚えるなんて、どうかしてる……。嘘をついているのは、この人のほうな、はずなのに……。


 自分のことを、夜明さんだと名乗るなんて……。


 夜明さんは……今どこに、いるんだろう……。


 閉じ込められていたり……何か、とんでもない目に遭っているんじゃないかな……。


 大丈夫、かな……。


 悪い方向にばかり考えてしまって、夜明さんのことが心配でたまらなくなった。