「そういえば、お前はどこからきたのだ」

そう言われて、我に帰った。

信長様の元を黙って出てきてしまった。

心配しているかな、絶対に怒鳴られるなあ。

「あのう、信長様の城でお世話になっていました」

その言葉に信玄は顔いろを変えた。

「お前は織田信長の女か」

「違います、怪我をしたところを助けて頂いただけです」

マミの脳裏には信長との熱い抱擁が蘇った。

その時、信玄の家臣が慌てて信玄の元にやってきた。

「恐れながら申し上げます、織田信長がお館様に御目通り願いたいと申しております」

「なんだと、織田信長が……」

なんで信長様がここに……

マミは信じられないと言った表情を見せた。

信玄の答えを聞かないうちに、信長はずかずかと城内に入ってきた。

「マミ、マミはおるか」

「信長様?」

信玄の傍らに寄り添っているマミの姿を見つけて、信長の表情が変わった。