とある事情で無言になったら、超絶クールな婚約者様が激甘溺愛モードになりました。

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 ライル様に会わないまま、学院の年間行事で決められているキャンピングスクールに向かうことになった。

 この行事は生徒たちの親睦を深めるためのもので、少し遠出をして二泊三日の旅行をするものだ。いつもは話すことのない生徒と親交を深めたり、また地方の平民の暮らしに目を向けて将来の領地経営に役立てたりと学べることがたくさんある。

 今回の目的地は王都の南にある街、マリンフォレストだ。海と山に挟まれ観光地や避暑地として人気があり、周辺の国から訪れる観光客も多い。わたくしたちは海を見下ろすように建てられた、貴族向けの高級ホテルに宿泊することになっていた。

 本当ならライル様も一緒に行けるはずでしたのに……寂しいですわ。手紙のひとつもこないなんて、あの噂に関係あるのかしら?

 ライル様が学院に来なくなってもう二週間が経つ。
 その間に信じられないような噂が耳に入ってきた。ライル様がマリアン様と婚約するというのだ。わたくしとの婚約が解消されたと聞いてはいないし、毎日送迎にきてくれるジークも婚約についてはなにも言及していない。

 本当にマリアン様と婚約するための準備で学院に来れないの? 違う、そんなわけない。ライル様は本当にわたくしを想ってくれていた。わたくしがライル様を信じないで、誰が信じるというの!