そろそろ日向に追いつかなくなってきたな。

 私は、ふうふう言いながら、娘の店の前まで走った。

 日向は、
「いちばーんっ」
と言いながら、店に入ろうとしたが、扉の前にいた若い運転手に気づいて足を止める。

「こんにちはっ」
と日向は彼に挨拶していた。

「こんにちは」
と笑顔で返す彼は、青葉さんの会社の運転手で、その前はハイヤーの運転手だったらしい。

 最近あった吾妻の親戚の法事の帰りにあかりを送って覚えていたようだ。

 また青葉さん、仕事の合間に来てるんだな、と思いながら、一緒に店に入る。

 ランプがいっぱいの占いカフェには焼きそばの香りが充満していた。