ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~

「木南の一族くらい、簡単にひねり潰せる。
 そっちがなくなれば、うちに来てもいいだろう」

「……俺への嫌がらせで、あかりに婿をとると言ってたんじゃないんですか?

 一族の嶺太郎さんも、一族のものではない堀様も、あなたの跡継ぎには向いてないですし。

 俺があかりに苦労させたからですか」

 陽平は黙っている。

「……確かに、俺が記憶をなくしてしまったせいで、あかりには、言葉にできないほどの苦労をかけた思います。

 でも、これからはあかりになんの不自由もないよう頑張ります。

 日向の子育ても手伝うし。

 あのどうしようもない店だって、なんとかしますし。

 あの店があかりの生きがいだというのなら、俺は頑張ります」

 今、どさくさ紛れに、どうしようもないって言いましたね……?
と思いながらも、少し感動していた。

 だが、陽平は淡々と言う。

「なんの不自由も苦労もない人生なんてないし。
 どんなに頑張っても大抵のことは思い通りにはならないんだ」

 どんな願いでも叶えるとあかりたちに言う男は、そんなことを言う。

 自分の人生はなにもままならなかったと。

 まあ、そうだろうな、とあかりが思ったとき、ノックの音がして、使用人が来客を告げた。

「今、誰も通すなと言ったろう」
と陽平が振り返ったときには、もう、日向が飛び込んできていた。