「お前があかりを捨てた男か」
壁一面の窓ガラスから、青葉が言う死体を埋めるのに適した雑木林が見える暖炉の間で、青葉と陽平は対峙していた。
青葉の目が暖炉の上に飾られた鹿の首を見、その下に飾られている猟銃を見る。
青ざめてこちらを振り返った。
いや……そんなむき出しの猟銃、飾り用のレプリカに決まってるじゃないですか。
「す、捨ててはいません。
き……」
記憶をなくしていて、と青葉は言おうとしたようだった。
だが、
「そうか。
じゃあ、捨てられた男か。
なら、なお用はないぞ」
と陽平はつれなく言う。
青葉は政財界の黒幕だというから、着物着て、でっぷりした妖怪みたいなおじいさんを想像していたようだが。
陽平は、あかりの祖母、滋子が出会ったときのまま、細身で端正な顔をしていた。
もちろん、歳はとっているが、スタイリッシュで眼光が鋭いので、今にも俊敏に動き出しそうで。
青葉には、凄腕のスパイか殺し屋かなにかのように見えているようだった。



