ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~

 実は、話を聞きながら、日向を何度も滑り台の上に抱き上げてやっていたのだが。

 その無限に続くかのような作業をまた続けながら、青葉はあかりの話を聞く。

 子どもはなんで同じ遊びを繰り返しても飽きないんだろうなと思いながら。

「……祖父は前から、私たちを引き取りたがっていました。
 跡取りがいないので。

 こちらにくればなんでも叶えてやると、ずっと言われてて。

 欲しいものはなんでも手に入るっていうのは、子どもにとっては魔法の呪文だったけど。

 なんでも手に入る代わりに、大切なものを失ってしまいそうだというのは、子ども心にも感じていて。

 私たちが、その呪文を唱えることはありませんでした」

『おじいちゃんちの子になる』

 その一言を言えば、大抵の願い事は叶ってしまう。

 政財界の黒幕、吾妻陽平(あがつま ようへい)の跡取りになる覚悟を決めれば――。

 だが、なんでも叶うかわりに、制約も多くなり、自由もなくなる。

 早くに呪文を発動していれば、あかりと自分がフィンランドで、ぼんやり出会うこともなく。

 あかりが、通りすがりの小学生に怪しい呪文を教えて踊っていたりするようなこともなかっただろう。