「今日も最高、堀様、美しかったですね~っ」
「嫌だわ、あなたと推しが一緒だなんて」
と語り合いながら、終演後、あかりは寿々花と劇場を出た。
ふたりとも関係者用にとってあったいい席が当たり。
しかも隣の席が関係者用チケットで観に来ていたイケメン人気俳優だったので、ご機嫌だった。
寿々花との間に、いつものビリビリした空気は今はなく。
ミュージカルと人気俳優の横顔を二人で堪能した、という変な連帯感で盛り上がったまま、語り合う。
「しかも、なに?
なんであんた、貴之様のファンなの?
うちの息子と欠片も似てないじゃないのっ」
寿々花は妙なところで怒り出す。
堀貴之は長身細身で美しい顔をした、歌もダンスも抜群のミュージカル俳優だ。
実は、最初に見たのはテレビドラマで。
この人、すごいっ、と思って、それからミュージカルも観に来るようになったのだ。
「そうですねー。
今回、共演してた原さんの方が息子さんに似てますかね?
寿々花さんこそ、なんで原さんの方、応援しないんですか?」
「息子と似てる男を推してたら不気味でしょ?
私は、子どもべったりな母親じゃないのよ」
ですよね……。
なのに、なんでいろいろ口出してきたんですか……と今更ながらに、あかりは思う。



