ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~

「妻があなたの話をとても楽しそうにしていたので。
 その、ちょっと占いついでに相談に乗っていただきたくて」

「……わ、わかりました」

 占える自信はなかったが。

 きっとご主人は占って欲しいわけじゃなく。

 最近、機嫌の悪い妻がなにを考えているのか。

 この怪しい占い師なら知っているかもと思い、話をしてみたかっただけなのだろう。

 だが、あかりはそこで迷った。

 とりあえず、占うフリはしなければならない。

 よく当たる……かもしれないアンティークなタロットを使うべきか。

 いや、悪い答えが当たっても困る。

 では、まったく当たらなさそうなこの量産品のタロットを使うべきか。

 ……なんかとんでもない結果が出たら、それも困るな。

 悩むあかりをじっと見ている男がカウンターにいた。

 元に席を譲り、ちょっと離れた場所に座っている青葉だ。

『なんだ、このイケメンは』
という目でこちらを見ている。

『穂月さんのご主人だと言ったではないですか』
とあかりは見返す。

 いや、それで伝わったかは定かではないのだが。