「じゃあ、カンナ送ってから帰るから」
「気をつけてねー」
姉に見送られ、来斗は店を出た。
どんなことがあっても、いつも、ほよん、としている姉は、今日も緊張感のない顔で手を振っていた。
……いや、身内にこんなことを言うのもなんだが。
一応、ねえちゃん、かなりの美人なんだか。
なんか見てると、気が抜ける顔なんだよな。
まあ、この緊張感のなさが、いつも気を張ってる社長にはいいのかもしれないけど……。
口ではいろいろ言ってはいるが。
あれだけ大変なことがあったのに、ちっとも変わらず、ぼんやりしている姉を実は尊敬している。
そんなことを考えながら、来斗は車に乗る。
助手席のカンナが、あかりに頭を下げたあとで言った。
「あのお茶」
「え?」



