ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~

 いつもなら慌てたであろう、堀貴之の出現にも、青葉はそこまでの危機感を覚えてはいなかった。

 そんなことより、さっきの男、『レイ様』が気になっていたからだ。

 正確には、レイが、というより。

 『レイが個室の扉を開け、中に入る動作をする』という光景が何故か頭に引っかかっていた。

 過去の記憶はもう封じようと思っていた。

 あかりとの愛は一から(はぐく)んでいけばいいからと。

 だが、封印したはずの記憶の扉は、今、無理やりこじ開けられそうになっていた。

 記憶の断片が頭の中でチラチラしている。

 そんなもの、いっそ何処かに追いやってしまおう。

 そう思っているのに……。

 青葉は、今、自分がレストランの廊下ではなく。

 フィンランドの道に立っている気がして落ち着かなかった。