夕方、ちょっと早めにお店を閉め、あかりは友だちの孔子と出かけた。
劇場の前はもう、開場を待つ人でいっぱいだった。
「孔子、ご飯食べて来た?」
「食べてないよ。
ギリギリだったもん。
あかりは?」
「私もまだ」
「終わったら、どっかで食べて帰ろうよ」
いいねー、と話していたとき、斜め前を歩いていた人にぶつかった。
「あっ、すみませんっ」
と謝り、あかりはそちらを見る。
「あら、いいのよ。
今、気分いいから――」
見るからに有閑マダムと言った感じのその美しいご婦人は、誰とぶつかったのかに気づいて、眉をひそめる。
「……あら、一気に気分が悪くなったわ」



