「すまない。
寄り道させて」
青葉はよく冷えた車に乗り込み、運転手にそう謝った。
最近、車両部に入ってきた、そこそこ若い運転手だが、腕はいいらしい。
まあ、この人だったら、いろいろ避けても、植え込みには突っ込まないかな、という感じだった。
運転手は、いえ、と微笑み、車をスタートさせようとしたが、まだ見送っているあかりに頭を下げ、うーん、という顔をする。
「どうかしたのか?」
「いえ、それが、あのお嬢さん、何処かでお見かけしたことがある気がして。
私、記憶力はいいんですけど。
何処で見たんでしょうね?」
……あかりを何処で見たんだろうな。



