「というわけで、あかりは俺じゃなくて、ハゲたおっさんに夢中らしい」
「なんなんですか、そのおっさんは」
と翌日、職場で来斗が言う。
そういえば、こいつはまだなんにも知らないんだよな、と青葉は記憶を失わず、あかりと結婚できていたら、義理の弟になっていただろう男を見る。
「いやー、でも、社長のような方が何故、姉みたいな人を好きになるのかよくわからないんですが」
と来斗は心の内をぶっちゃける。
まあ、うちにも一応、姉がいるから、そう思うのも、わからないでもない。
姉弟なんて、大抵、こんなものだ。
あかりの、辞書に書きたくなるような愛らしさも、綺麗さも、ホッとするようなぼんやりした雰囲気も。
血のつながった弟の心には、なにも響いていないのに違いない。
だが、さすがは肉親、自分で罵っておいて、自分で心配しはじめた。



