遅くなってしまったな。
あかりの店はもう閉まっただろうか。
……いつまで開いてるんだか、わからない店だからな。
そんなことを思いながら、店に行った青葉は、まだ灯りがついていて、ホッとする。
外にかけてあるランプが暖かい光を放っていた。
なにかこう、落ち着く光だ、と思いながら、中に入ると、あかりはカウンターで貴族の邸宅にありそうな燭台に火をつけていた。
「どうした?」
と訊くと、
「いや、なにかこう、癒されたいな、と。
覚えてないかも知れませんが、北欧にはヒュッゲという文化がありまして」
と語り出す。
ヒュッゲとは居心地のいい空間で、家族や友人たちとゆったりとした楽しい時間を過ごすことだ。
「覚えてるよ。
そういう一般常識は忘れないから」
と言いながら、青葉はカウンターを挟んで、あかりの前にあるスツールに腰を下ろした。



