愛らしい日向が『あいうえおポスター』を手に戻るのを見ながら、青葉は言った。

「……よくここまで立派に育ててくれたな」

「私ひとりの力ではありません。
 私は日向と暮らすことは禁じられていたし。

 ほとんどお母さんたちが――」

「てぃりんの『てぃ』!」

 小さなアンティークテーブルにポスターを広げた日向がポスターを指差しながら言う。

「キリンの『キ』では……」
とあかりがそちらを見ながら呟いていた。

「しまむらの『し』!」

「しまうまでは……」
と青葉が呟く。

 立派に育てられたはずの日向は笑顔で言った。

「ゆかんの『ゆ』!」