ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~

「あなただって、息子さんの記憶がなくなって。

 いきなり、見たこともない女が現れて、息子さんと付き合ってました、とか言ってごらんなさい」

「それは……遺産争いになって、殺人事件になりますね」
と深刻な顔で真希絵は言う。

 待ってください、お母さん。

 何故、いきなりの遺産争い。

 誰が死んだんですか……。

 そして、我が家に争うほどの遺産はありません。

 真希絵は昼の二時間ドラマの見過ぎだった。

「でしょうっ?
 だから、私はあかりさんを遠ざけたのよ。

 なのに、この人、妊娠してたもんだから、日向が生まれちゃって」

「ぐらんまー。
 まーちゃん。

 この人、喉渇いたってー」
と日向が店の隅であのおじいさんの人形を抱えて笑う。

 祖母二人は、それだけで笑顔になり、もうこっちの話はどうでもよくなったらしい。

「あらあら、ここに水があるわよ」

「日向、それ売り物でしょう。
 水こぼさないで」
と言いながら、二人ともそちらに行ってしまう。

 今、重大な告白のシーンですよ、お二人ともっ、と思ったが。

 孫が絡むとなにもかもそっちのけになってしまう二人のせいで。

 あかりは青葉と二人、カウンターに取り残された。