ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~

『じゃあ、また明日』

 あの日、青葉は一度扉を出て行ったあとで、戻ってくると、あかりの手を握り、そう言ったのだ。

 そして、ちょっとはにかむように笑った。

 あまりに普段通りの別れで。

 まさか、それがあの青葉との今生の別れになるなんて思ってなかった。

 結局、あかりは、青葉に妊娠を告げることはなかったが。

 寿々花が気づいて、連絡してきた。

「いや、あなた、おとなしそうなのに、なんで青葉のことを調べ上げて追いかけてきたのか、気になってね」

 そう寿々花は言っていた。

 そして、今に至るんだが――。

 まあ、よく考えたら、ちょっとおかしい気がするな、と青葉と再会した今、あかりは思っていた。