ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~

「今度、うちの職場の人に紹介するよ」
と微笑む青葉に、

 家族じゃなくてか、と思ったが――。

 フィンランドに家族は来ていないから、とりあえず、親しい人に紹介するという意味で、そう言ったんだったのか。

 青葉は寿々花と衝突したりすることが多かったようなので。

 それで、家族より仲良い人にまず紹介する、という意味で言ったんだったのか。

 正解は、今となっては、もうわからない。

 どちらにせよ、あかりは職場の人に紹介されることはなかった。

 ある日、突然、青葉はあかりの許を訪れなくなってしまったからだ。

 出会って一週間。

 なんとなく、道で出会ったり。
 なんとなく、市場で出会ったり。

 なんとなく、恋に落ちたり――。

 そんな感じに、なんとなく一緒にいた二人は、お互いのことをよく知らず。

 青葉の携帯も何故か通じなくなっていた。

 ……捨てられた、とあかりはショックを受けた。

 もしかして、詐欺!?
とも思ったが、なにも盗られてはいなかった。

 盗られるどころか、青葉は、あかりのお腹に子どもを―― 日向を残していっていた。