あかりは夕刻、支度をした。
知り合いの仕事の関係で、例のミュージカルのいい席が四枚手に入ったと寿々花から連絡があったからだ。
孔子と行くと、劇場前で、寿々花が待っていた。
「遅いじゃない」
「いや、お店があったんで……。
っていうか、そんなに急がなくても、指定席ですよね?」
「早く来て、劇場の雰囲気を味わいたいのよ。
同じ空間に貴之様がいらっしゃるのよ」
なんと尊いことでしょうっ、というように寿々花は言う。
「まあ、それはわかりますけど」
とあかりが言ったとき、駐車場から小柄なご婦人が走ってきた。
この間の人とは違う女性だった。
「ごめんなさい、木南さん。
遅くなっちゃって」
「いいのよ。
この子も今来たところだし」
「あら、可愛らしいお嬢さん。
どなた?
あっ、もしかして、青葉さんの?」
二人は沈黙する。



