奇妙な格好の「誰か」は、ゴトゴトとブーツの音を鳴らしながら教室の黒板側の入り口から入ってきた。
教師はその「誰か」の異常な姿に驚愕しながらも、「誰か」から目を離さないでいた。
いや、離せなかったと言うべきか。
その「誰か」の手には大きな肉包丁が握られていた。
その片手には大きな黒い鞄が握られている。
よくみると、腰にベルトを巻いていて、そこには一つの拳銃が入っていた。
「誰か」は教師の方を見て教師の元へ向かっていく。
生徒は動くことができず、ただただ震えながら「誰か」を目で追うことしか出来なかった。
(声を上げたら殺される)
誰もがそう思っていた。
ただ、怯える教師に向かっていく「誰か」を見つめていた。