【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


ここで、マリア王女がアクアに会いたがっていた一番の理由がわかった。
どこからかわからないけど、ユニコーンの噂を聞きつけたんだ。だから、それを確かめるつもりだったんだろう。

でも、アクアの脱走癖でこうして実際に会ってしまった。
幻獣であるユニコーンの仔の話は、アクアの世話をする厩舎のスタッフでさえほとんど知らない。知らせてないから。
とはいえ、マリア王女には下手に隠し立てするよりも、素直に認めてしまった方がいい。彼女は兄王子と違って賢いから、わたしの意図も汲んでくださるだろう。そう確信しているから、わたしはマリア王女をまっすぐに見据え頷いた。

「はい、アクアはユニコーンの仔を受胎しています」
「ほう、いやに素直に認めるではないか?わらわがこの件を公にし、糾弾するとは考えないのか?」
「マリア殿下はそこまで愚かな振る舞いをされる御方ではない…とわたしは信じておりますので」

きっぱりと言い切ると、マリア王女は突然肩を震わせ笑い声を上げた。

「ふふふ…ミリュエール。そなた、なかなかの食わせ者じゃ。本来ならば敵対する立場のわらわに、そこまで迷いなく言い切るとはな」
「立場は関係ありません。あなた様はずっとご自分のお心に正直でいらっしゃる。ならば、口先だけ耳触りのいい言葉を並べ立て、腹の中で策を弄する人間よりよほど信用できますから」

そうだ。確かに、マリア王女はレスター王子の同母妹。王太子候補がアスター王子とレスター王子に絞られた現状、本来ならばマリア王女はアスター王子とは相容れない立場なんだけど。

「うむ、よいじゃろう。そなたの言葉、気に入ったぞ!アクアの件はわらわが責任持って外部に漏らさぬと約束しよう」

どうやらマリア王女には意図を理解してもらえたようで、よかった。