アクアの背中に乗ったマリア王女に注意しながら、アスター王子のアドバイスに感謝をした。
やっぱり、わたしを一番に理解してくださっている。
「年下のフランクスやトムソン達に負けまいと……肩肘張っていました。もう少し、クールダウンしようかと思います」
「ああ、それがいい。あまり思いつめるなよ」
「はい…ありがとうございます」
やっぱり、騎士としての経験はアスター王子の方が段違いに多いからか、彼からの指摘は的確だ。こういう時はやっぱり頼りになる。
「すごい、高いのう!わらわも乗馬はするが、いつもポニーのような小型の馬のじゃからな」
マリア王女はアクアの上で子どもらしくはしゃいでいた。素直に笑い、楽しそうな声を上げる。やっぱり、大人びていても9歳の子どもだ。
アスター王子はわたしと話していた時も、さり気なくマリア王女の体に手を添えてサポートしていた。非常時に咄嗟に対応できるように。
アクアがマリア王女を乗せたまま、常歩(なみあし)で歩く。普通なら鞍を載せないと危ないけど、アクアの背中は馬具を付けなくても乗りやすい。
「素晴らしい馬じゃ!ミリュエールが気に入るのもわかるのう」
「ありがとうございます。アクアは世界一の自慢の馬ですから」
「ヒヒヒン」
マリア王女のべた褒めに、アクアもすっかり気をよくしてる。でも、次の彼女の発言でその場が凍った。
「……ふむ、やはり水の属性の魔力を感じるな。のう、ミリュエール。この馬が懐妊したのは、ユニコーンの仔というのは誠か?」



