絶対、冷たい笑みになっている自覚はある。
だからか、アスター王子も引きつった顔になっていた。
「アスター王子……今朝のストリーキング(全裸疾走)だけでも飽き足らず、ぼくのストーキングまでしていたのですか?」
「そ、それは…否定しないが…やむを得ずだ!」
「やむを得ない?へえ…どんな理由ででしょうか?」
「おまえが、危険に遭った時に…だ!」
「確かに……あの時は助かりましたからね」
たぶん、夢の国でアスター王子がわたしたちを見つけられたりしたのは、メダリオンにかけた術のおかけだ。後でソニア妃にも、夢の国から脱出する時にアスターのあらかじめかけた術が役立ったと聴いたりもした。当時はなんの魔術がかけられたかわからなかったけれども…こうして、アスター王子が何重にも魔術をかけていてくれたおかげで、今の自分はある。
ため息をついたわたしは、怒りを和らげてアスター王子に謝罪した。
「すみません、アスター王子。あなたの深謀遠慮で何度も助かったのは事実ですからね」
「いや、オレもきちんと説明すべきだったな。すまない…」
「……で?メダリオンに後はどんな魔術を掛けていらっしゃるのか…きちんと説明してくださいますよね?」
「うっ……はい」
わたしが両手を胸のあたりで組んで睨みつけると、アスター王子はしおれた菜っ葉みたいに肩を落として話した。
「加護の術と、追跡の術と、遠見(とおみ)の術と…」
「遠見?」
「離れた場所の様子を視ることができる遠視の術じゃな!」
わたしが繰り返した言葉を、マリア王女が解説してくださいましたが…。
「離れた場所の様子を…視る?」



