【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


「ふむ…」

突然マリア王女がわたしとアスター王子の間に割って入り、顔をまじまじと見られた挙げ句、ため息をつかれてしまいましたが。

「どちらも不器用じゃのう…これは、わらわが導いてやらねばならぬかの」
「マリア殿下……不器用とは?」

なんの事かさっぱりわからないわたしが気になって訊ねると、彼女は腰に手を当てて胸をそらす。

「決まっておろう! 色恋沙汰じゃ。まどろっこしくて仕方ないわ。ことに、アスター兄上はそのメダリオンに追跡の魔術をつけて、常にそなたの居場所を把握ーーもごっ!」

ビシッ!とわたしの胸もとを指差したマリア王女は、なぜかアスター王子に口を塞がれてた。

「はいはい、マリア。お部屋に帰るんだろう?オレも護衛するから、さっさと行こうか?」

目が笑ってない笑顔でアスター王子は妹王女を強引に連れて行こうとするけれども……

それよりも、わたしはマリア王女の言葉に引っかかりを覚えて彼を詰問することにした。

「アスター王子……ぼくのメダリオンにたくさん魔術をかけてましたよね?それはぼくの身を案じて下さったからでしょう?おかげで数々のピンチを切り抜ける事ができました。ありがとうございます」
「い、いや……別に。おまえは大切な部下、だからな……」

少し頬を赤らめたアスター王子は、咳払いをして照れ隠しをした。まだマリア王女はなにか言いたげで、口を塞がれたままモゴモゴ言ってる。

「アスター王子……マリア殿下をお離しくださいませんか?目つき悪くて誘拐犯みたいですよ?」
「だ、誰が誘拐犯だ!これはやむなく…」
「何が、やむなくなんですか?追跡の魔術がどうという部分が…ですか?」