【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


マリア王女はメダリオンをしばらく見つめた後、指差しながらかかっている術を教えて下さった。

「ひとまず、これには加護の術がかかっておるな。万能ではないが、そなたの身を護るものじゃ」
「加護の術…」

言われてみれば、去年の夢の国事件でも不思議な事がいくつかあった。襲われた時にダメージが少なかったり…このメダリオンを身に着けていたから、だとしたら、アスター王子に感謝をしなければ。

「それから…ふむ?」

マリア王女はじっとメダリオンを凝視してから、またわたしの顔を見てにんまり笑う。

「そうか、そうか!ミリュエール、そなたずいぶんアスター兄上に愛されておるようじゃの?」
「は?」

マリア王女はひとり納得したように頷いてらっしゃいますが……一体なんの事か、と訝しく思う。

「あの、マリア殿下……一体なんのお話ですか?」
「心配するな、間もなくミリュエールを迎えにアスター兄上が来るじゃろうからな…ほれ、来たぞ」

マリア王女が視線で示した先には、本当にアスター王子の姿が見えた。

「すごいです。よくわかりましたね?」
「なに、アスター兄上の単純さを考えればすぐわかることじゃ」

ふんっ!と鼻息荒く得意気になる彼女は、やっぱり大人びていても年相応で可愛らしい。

「そうですね。確かに、扱いやすくありますよね」

わたしがマリア王女に同意すると、「へっくしょん!」とアスター王子が盛大なくしゃみをした。稀代の英雄が台無しだ…。

「おーい、アスター兄上!ミリュエールはここじゃぞ!!」

よりによってそのタイミングでアスター王子を大声で呼ぶマリア王女……いい性格してますよね。