【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


わたしは納得できないし、したくないので司祭様に詰め寄った。

「司祭様も、講義でおっしゃいましたよね?
『ドラゴンも生きとし生けるもののひとつ、ということです。確かに力は強大でありますが、理不尽な理由で暴れたりはしません。理知的存在であり、対話により解決する方法があるという点です。人間の身勝手な理由で屠ることがありませんように』…と。
ならば討伐するよりも、対話で解決すべきではありませんか?」
「……確かに、そうではありますね」
「なら…!司祭様より進言はできないのですか?一介の従騎士のわたしでは、聞く耳を持たれないでしょうが、ルスド教の司祭様で大聖堂でも重要な地位にいらっしゃるあなたでしたら…」

パグウェル司祭様は必死に訴えるわたしの言葉に耳を傾けてくださるけれども、決して同意はしてくださらなかった。

「確かに、まだブラックドラゴンによる被害はありませんし、暴れる気配もない……ですが、だからこそなおのこと警戒する必要があります。……なぜなら、そのドラゴンの首にはフィアーナ王国でよく見られる“従属の呪具”の存在が確認されたのですから」

従属の呪具…!

それは、魔術関連に疎いわたしですら知っている呪いのアイテムだ。自分の意思を封じ込まれ、填めた相手に完全に服従してしまう。そうなると、どんな理不尽極まりない命令でも受け入れ忠実に実行してしまう。
たとえ、自分や誰の命が失われようとも。

幻獣の中でも伝説クラスの強大な力を持つドラゴンがその呪具に囚われていたならば…
良くない事しか考えられない。