パグウェル司祭様から、驚く情報をもたらされた。
「実は、ユニコーンだけではありません。ドラゴンの出没頻度も上がっています」
「え!そうなんですか!?」
「はい。そして…実はブラックドラゴンと呼ばれる炎龍が、二十年ぶりに首都近郊に現れたのが1週間前。それ以降、数日毎に徐々に首都に近づいているのが確認されています。箝口令が敷かれていますので、まだ表沙汰にはなっていませんが、そろそろ半径10キロ圏内に現れるころでしょうか?そうしたら、さすがに皆も気づくでしょう」
「ドラゴンが現れたのが1週間前……そして、ゆっくり首都に近づいている?それってアスター殿下の不調と無関係ではありませんよね!?」
わたしが思わず椅子から立ち上がって詰め寄ると、司祭様はそれを手で制された。
「まだ、結論を出すのは早いでしょう。ですが、ブラックドラゴンは以前ソニア妃殿下が討伐されたことがあります。まだ子竜だったゆえに、慈悲で人の居ない僻地へ住まわせることで決着しましたが…その子竜が成長し、恨みかなにか…動機はわかりませんが、禁を破り人の居る地へ近づいた。そのうち、討伐隊が編成されるでしょう」
「それは…!まだ、危害を加えたわけでは無いのですよね?なのに、なぜ討伐という話になるのですか!?」
納得がいかずに、司祭様にそう疑問を投げかけた。本当は答えなんて自分の中でもわかりきっているのに。



