【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


思わぬ事に司祭様の口よりアスター王子の話が出たから、思い切って相談してみることにした。

「あの、パグウェル司祭様。内密にしていただきたい相談があるのですが…」
「それでは、別室で伺った方がよろしいでしょうね」

パグウェル司祭様に先導されて講堂からしばらく歩いた後、今まで入ったことがない区画に入った。
白を基調にした壁面に自然の模様が描かれ、床や天井も一面水色。なんとなく気分が落ちつく薫りのお香が焚かれていた。

たぶんルスド教関連の施設だろうな。

数分歩いた後に促されて入った部屋には、壁一面に書籍や様々な見たことがない道具類が所狭しと並べられていた。

「わぁ……すごい数の本ですね。これは…?」

青い不思議な球体が台座に載せられていた。その表面には、地図で見たようなことがある地形図が描かれている。

「それは、私たちが暮らす星のモデルです」
「へえ…すごいですね。初めて見ました」

今は当たり前になっている教育は、もともと宗教の講義から始まった。教養を磨くために貧しい人が聖職者になるくらいだ。パグウェル司祭様は特に勉強熱心で博識で知られてる。この方に相談してダメなら、他には方法が見つからないかもしれない。

「さて、どのようなご相談でしょうか?あなたのことですからよほどお困りのことでしょう」

背もたれの無い椅子に対面で座り、そう促されたわたしは、コクリと頷いた。


「おっしゃる通りです。先ほど司祭様がおっしゃったアスター殿下のことなのですが…彼は今、魔力の制御が上手くいかないようなのです。ソニア妃殿下に相談しても、本人がどうにかしないと…とおっしゃいまして…それでも、1週間だんだんとひどくなって行くばかりで。なにか手段はありませんでしょうか?」