【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


「……それは否定できない」

アスター王子が認めたついでに、さっき詰問した際の彼の言葉を繰り返した。

「昨夜は熱くて意識が朦朧としていた…と先ほどおっしゃいましたよね?いつ頃からそんな状態でいらしたんですか?」

昨日は朝からアスター王子は多忙で、なかなか姿を見ることが出来なかった。昨日の朝は特におかしい様子はなかった気がする。となると、それ以降という事にはなるけれども…。

まただんまりを貫こうとする気配を感じ取ったから、わたしはよいしょ、とアスター王子を抱えようと後ろから手を伸ばした。

「……何しようとしてる?」
「ベッドに縛り付けようかな〜と思いましたが?熱があるなら病気ですからね」
「ま、待て!言う!言うから…抱え上げるな!」

日頃の筋トレのおかげか、アスター王子をわずかにでも抱き上げることができましたよ。わたしよりだいぶ重いのに。まぁ、怒りのためってのもあるけれど。

「ここ、1週間だ。最初はいつもの熱さだったが、だんだんと熱が上がっていった。いくつもの方法を試したが、無駄だったんだ」
「そんなに長かったんですか!?なら、早めにおっしゃってくださいよ!それともぼくは役立てないからですか!?」

思わずそう言ってしまうほど、ショックを受けてしまった。ここ1週間アスター王子におかしな様子はなかった…逆に言えば、気力で普通に見せていたということ。立派ではあるけれども、弱味を見せられないとわたしが信用されてないようで、なんだか悔しい。
確かにわたしは魔力が無いし、魔術の知識もないけれども。早めに相談してくれればなんとかできたかもしれないのに。