「え、空きがない?」
近衛騎士団の見習い騎士用の寮の管理人さんに空き部屋を確認しに行ったら、現在ひと部屋も空きがないと言われてしまった。
でも、おかしい。
この1年わたしが知る限り、騎士叙任された従騎士や辞めた人数以上の新しい見習いは入ってきてないはずだ。
「ぼくの情報だと、空き部屋はなきゃおかしい計算ですよ?従騎士や見習いは1年前より人数減ってますよ ね?」
わたしが指摘すると、寮の管理人さんはなぜかぶるぶる震えながら青い顔で「す、すみません!」と謝ってくるばかり。脂汗もすごい…体格はいいおじさんなのに、ずいぶん気が弱いようで…。これ以上追及してしまうと、失神しかねない。
「お騒がせしてすみませんでした。でも、空きができたらすぐ知らせてもらえますか?」
「は、はい……それは……」
まだ、ダラダラと滝のような汗を流して今にも卒倒しそうな様子。とりあえずプレッシャーを掛けないように、「できたらお願いしますね」とだけ言い直して、後でフランクス達に空き部屋があるか確認しようと決意をした。
で。
部屋に戻ってドアを開いた瞬間、わたしはいつも通りに叫んでた。
「アスター王子!なんでまた裸でいるんですか!!熱があるならきちんと服を着てくださいって言いましたよね?寝間着も用意してましたよね!?それがなんで、足の踏み場もないほど部屋が乱れて素っ裸でうろついてるんですか!!」
まったく、1年前からまったく進歩していない上司には呆れ果てるばかりだ。



