「……で?どういった状況で、何の必要があって昨夜ぼくの服を剥ぎ取ったんですか?きちんと説明してくださいますよね?」

近衛騎士としての制服を着て身だしなみを整えたアスター王子を詰問すると、なぜか彼は床の上で正座をして項垂れてる。そんな彼をわたしが仁王立ちし腕を組んで見下ろす…なんて構図になってた。
アスター王子がしどろもどろに、下手な言い訳をする。

「その…昨夜は熱くて…意識が朦朧としてたんだ」
「暑い?まだ4月ですよ?」
「違う!身体が熱かったんだ」
「身体が熱い……?」

思い返せば、確かに起床時のアスター王子の身体は熱かった。今も、少し顔が赤い。

「ちょっと失礼しますよ?」

わたしが額に触れようと手を伸ばした瞬間、なぜかアスター王子は身体をのけぞらせた。

「……なんで避けるんですか?」
「いや、オレなら大丈夫だ!うん、そう。大丈夫だ!なんともない!!」

明らかな空元気の笑顔でいられても、誤魔化せるわけないのに。

「駄目ですよ。明らかに顔が赤いのに、何をおっしゃってるんですか!もし熱が高いなら、ちゃんとお休みしてください!」
「熱なんてないぞ!ほら!」

出された手に触れるとひんやり冷たいくらいだったけど、不自然に冷えてる。

「その後ろに隠したの…氷ですよね?素直に出してください」
「……はい」

わたしがジロリと睨みつけると、アスター王子はしゅんと項垂れて魔術で作った氷を床に置いた。