あ、でも。ソニア妃は不思議なことをおっしゃってた。

「爆睡してた最中に、夢の中でアスターそっくりの男の子に起こされたの〜“母様、起きて!”って、たぶんお腹の中にいるあの子じゃないかしら」

あの子……去年までソニア妃が眠り病に罹っていた原因である、夢の国。本来アスター王子の弟として生まれるはずだった彼……“アスターク”。
生まれる前にユニコーンの延命に使われた彼はユニコーンのなかに宿り、無邪気な子どものまま成長できずにいて……。
わたしと遊びたかっただけ、という彼は去年の夏の狩猟会で大規模な事件を起こしてしまった。

夢の中の国でわたしとアスター王子とピッツァさんにアクアが奮闘し、なんとか解決。その結果ユニコーンは死に、その命はアスタークへ受け継がれ…ソニア妃のお腹へ再度還っていった。この世界へ新しく生を受けるために。

そろそろソニア妃も産み月に入る。

アスタークが母親を護ろうとしても不思議じゃない。

(早く逢いたいね……アスターク。逢えたらいっぱい遊ぼう)

赤ちゃんや子どもの世話はほとんどした事がないけれども、アスター王子の弟で将来の義弟になる子なんだ。そして、あれだけわたしと遊びたがったアスターク。約束どおりに、生まれたら精一杯遊んであげよう。