ランスを握る手が疲れて震えた。
でも、と振りかぶり、ゴーレムに一撃を加え粉砕する。
フランクスもさすがに息が上がり、滝のように汗を流している。
倒しても、倒しても、ゴーレムは増えてゆく。
ひときわ大きなゴーレムがマリア王女を襲おうとしているから、ランスで突こうと足を踏み出した瞬間。違うゴーレムの破片に足を取られ、体勢が崩れた。
「しまった…!」
すぐに体勢を立て直してランスを振り上げるけど、ゴーレムはマリア王女のすぐ近くに接近している。
間に合わない!?
それでも、と全力でダッシュする。ランスを突き出してゴーレムへ向けて突進した。
「はぁああっ!」
けれども、ほんのわずかの差で、ゴーレムの手がマリア王女へ触れそうになった刹那……。
ゴーレムが、上から飛来したなにかに貫かれた。
ゴーレムの心臓部に鋭く突き立ったものは、矢。
それから次々と矢が降りそそぎ、無数のゴーレムが破壊されてゆく。
一体なにが起きたのか…すぐに空を見上げれば、真紅の鱗を持った大きなドラゴンが羽ばたいている。そして、その背中には見慣れた人が騎乗していた。
「アリシアお祖母さま!」
「ミリィ、待たせてごめんなさいね。ようやく国境の方が片付いたから、駆けつけたわ」
グレーヘアを結い上げ、短いシャツとズボンにレーザーアーマを身に着け弓を手にした、母方のアリシアお祖母さまだった。
《よお、久しぶりだなミリュエール。デカくなったな。このオレ様…ファイアドレイクのバーミリオン様が来たからには、一騎当千だぜ!》
以前見たことがあるドラゴンも、そんなふうに言ってくれた。



