【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


ランスを握る手が疲れて震えた。

でも、と振りかぶり、ゴーレムに一撃を加え粉砕する。

フランクスもさすがに息が上がり、滝のように汗を流している。

倒しても、倒しても、ゴーレムは増えてゆく。

ひときわ大きなゴーレムがマリア王女を襲おうとしているから、ランスで突こうと足を踏み出した瞬間。違うゴーレムの破片に足を取られ、体勢が崩れた。

「しまった…!」

すぐに体勢を立て直してランスを振り上げるけど、ゴーレムはマリア王女のすぐ近くに接近している。

間に合わない!?

それでも、と全力でダッシュする。ランスを突き出してゴーレムへ向けて突進した。

「はぁああっ!」

けれども、ほんのわずかの差で、ゴーレムの手がマリア王女へ触れそうになった刹那……。

ゴーレムが、上から飛来したなにかに貫かれた。

ゴーレムの心臓部に鋭く突き立ったものは、矢。

それから次々と矢が降りそそぎ、無数のゴーレムが破壊されてゆく。

一体なにが起きたのか…すぐに空を見上げれば、真紅の鱗を持った大きなドラゴンが羽ばたいている。そして、その背中には見慣れた人が騎乗していた。

「アリシアお祖母さま!」
「ミリィ、待たせてごめんなさいね。ようやく国境の方が片付いたから、駆けつけたわ」

グレーヘアを結い上げ、短いシャツとズボンにレーザーアーマを身に着け弓を手にした、母方のアリシアお祖母さまだった。


《よお、久しぶりだなミリュエール。デカくなったな。このオレ様…ファイアドレイクのバーミリオン様が来たからには、一騎当千だぜ!》

以前見たことがあるドラゴンも、そんなふうに言ってくれた。