ほんとうに小さな小さな紅い宝石だった。
けれども、わたしの中で何かがざわめく。
炎龍であるブラックドラゴンのランスを通じ、“あれが、炎獄のケルンの核だ”直感的に、そう理解した。
「アスター王子……ケルンの核の場所がわかりました。額にある紅い宝石です」
「……なに?」
わたしがそう告げると、アスター王子がケルンを観察して「そうか」と呟いた。
「……魔力を持つ者には見えない仕掛けがされている。けれども、魔力を持たない者には物理的に見えない。なるほど……そのランスの炎の力に共鳴したわけか」
さすがに魔術師としても優秀なアスター王子は、状況を素早く理解したようだった。
「はい。あの核を破壊すれば、ケルンの動きは止まると思います」
「わかった。ひとまず作戦に組み込もう」
わたしの提案を、アスター王子は受け入れてくださった。
わたしが破壊しようにも、ケルンは超高温な上に巨大過ぎる。安易に頭には接近できない。
「……よし、では。作戦開始だ」
アスター王子の一声を皮切りに、それぞれの役割を果たすべく動き始める。
わたしはマリア王女を先導しながら、アクアとともに露払いの役割を果たさねば。
時折ゴーレムが襲い来るから、再びランスで薙ぎ払う。再生する前に素早く通り抜け、炎獄のケルンへ接近していった。



