【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


「行くよ、アクア!」
「ブヒッ!!」

ランスを構えたわたしは、炎獄のケルンへ向けて突撃する。
やや後方からマリア王女を連れたフランクスと騎馬。

石人形たちがこちらへ群がって来るけれども、すべて一振りで薙ぎ払う。

「はぁあッ!」

やはりブラックドラゴンの角で出来たランスだけあり、触れただけで石人形はあっという間に崩壊する。ただ、アスター王子の情報にあったように、辺りにある土や石でまた再生してしまう。核がわかればそこを破壊するのだけれども…数の多さから、とてもそこまで見切る余裕は無い。

(とにかく今は、ケルンに近づくことを最優先にする!マリア王女たちを確実に護らねば)

どうしたか、今ケルンは動きが止まっている。それでも地下からのエネルギーはずっとケルンに供給されているのだろう。次に来る一撃はより強いものになりそうだ。

「ミリィ、マリア!なぜ、来た!?」

ファルコに騎乗したアスター王子が、こちらへやって来た。やはり、顔が真っ青で汗もすごい。思わずわたしは懐にしまっていたハンカチを取り出し、彼に近づいて額の汗を拭った。

「すごい汗ですよ。このままだと体が冷えて風邪を引きます。ちゃんと拭いてくださいね……というか、もう無理しないでください」

自然とそう出来たことに、自分自身も驚いたけれども。アスター王子も目を見開いていた……うん、やっぱりわたしのイメージじゃないんだろうね。