「確かに、厄介そうだな…まずは足止めか」
フランクスも意気込みは充分であるものの、具体的な方法はやはりすぐに見つからないらしい。
「……ふむ」
マリア王女は炎獄のケルンの動きをしばらく観察していて、なにか閃いたらしい。
「あの石人形の力の源は、地下じゃな。地底にあるエネルギーを吸い上げて動いておるようじゃ…なれば、その循環を断てばよい」
さすがにソニア妃が魔術のセンスあり、と認めただけある。その慧眼は感嘆すべきものだった。
「フランクス、わらわをあの石人形のそばに連れていくのじゃ」
「……さすがにそれは、危険性が高いと思いますが」
マリア王女は婚約者にそう要望するけど、フランクスもさすがに素直に応じない。彼の言うとおりに、確かに危険性はある。
でも、とわたしはランスを握る手に力を込めた。
「わたしが、先導します!アスター王子も限界でしょうから、一刻も早く炎獄のケルンの動きを止めねばなりません。わたしが露払いをしますから、フランクスはマリア王女を護りながら連れていって」
わたしの提案に、マリア王女はすぐさま賛成してくださった。
「そうじゃな。では、ミリュエール、先導を頼むぞ!」
「はい、お任せください」
「おいおい…ったく、しょうがないな」
わたしたちが話をまとめたことに、フランクスは少々不満そうではあったけど。わたしが先にアクアを動かした事で、やれやれと首をふり着いてきてくれた。



