【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?



「ソニア妃には太鼓判をいただいたのじゃ!わらわは魔術師としてセンスがいいらしいぞ」

そう言い胸を張るマリア王女。確かに、彼女は以前ブラックドラゴンに狙われたほどだった。おそらく呪術師が彼女の魔力に目をつけ、利用しようとしたのだろう。
ソニア妃に指導してもらった…というのがいまいち不安ではあるけれども。

「なあ、ミリィ。俺だって騎士のはしくれ。隅っこで震えながら待つなんて嫌だぞ。マリア王女でさえ勇気を振り絞ってんだ。俺だって戦うぞ」

フランクスが真剣な面持ちでそう告げてきた。
そうか、とわたしは逆に失礼な対応をしてしまった事を悟る。
フランクスだとてまだ従騎士とはいえ、騎士の矜持はある。その身を、命を賭けて護り戦う覚悟はしているはずだ。
わたしの逃げろという発言は、彼にとり尻尾を巻いて逃げろと言われたも同然だ。

わたしだって、何もせずただ逃げろと言われたら反発するだろう。

「……ごめん、フランクス。君も従騎士なのに、失礼な事を言ってしまったね」
「いい、気にするな。ミリィが正義感が強くてついついそう言った事くらいわかるさ」

フランクスはレスター王子の婚約者時代から何年もともに鍛錬を積んだ仲間だけあり、さすがにわたしの性格を熟知してる。苦笑いをしながらそう言ってくれてほっとした。

「……なにか2人、親しそうじゃのう?」

マリア王女が可愛らしい焼きもちを妬いたくらいだ。わたしも苦笑いをして説明をした。

「わかりました。では、お二人には手伝っていただきたい。ですが、どうすればあの炎獄のケルンを止められるのかがわからないのです。アスター王子がすべて攻撃を防いでいますが、そろそろ限界でしょう」