しばらくにらみ合いが続く。
そんな中、唐突に呪術師が笑い始めた。

「ははははははは!」

遂に気が狂ったか……と勘違いしそうになるほど、ずっと笑い続けている。

「愚か者どもが!わしがここで大人しく囚われると思うていたか!?」

再び、地面が揺れる。
それだけでなく、空で真っ黒な雲が激しく渦巻く。
バシバシと放たれた雷が纏まって地上へ向かうと、地面を割り黒い靄が湧き出す。

当然アスター王子が止めようと魔術を行使しても、間に合わないほどのスピードだった。

「ミリィ、離れろ!途轍もない魔力を感じる」

現れたなにかから、高温の爆風が放たれた。
咄嗟にアスター王子がわたしたちを護る結界を張ってくださったけど、きっとそれが無ければ即死レベルだったと思う。

土埃が収まり視界が晴れると、どろどろに溶けた溶岩でできた超高温のゴーレムが現れていた。

その高温は近くにあるものすべてを触れることなく燃やし、あちこちで火の手が上がる。そして、厄介なのは呪術師が乗るゴーレムの倍以上の巨大さを誇る巨体。

「見たか、わしの切り札である“炎獄のケルン”じゃ!こいつは一体で国を滅ぼせる力がある!どれ、力を見せてやれ!」

呪術師がそう指示すると、炎獄のゴーレムは口?を開く。
そして、そこから真っ赤な光線を発射。

遠くにあった無人の宿舎が一瞬で破壊され、巨大な爆発が生じていた。