アスター王子はファルコから下馬すると、つかつかとゴーレムへ歩み寄る。

「アスター王子、危険です!ゴーレムは様々な攻撃を仕掛けてきますよ」

急いでアスター王子とゴーレムの間に割って入ろうとすると、すぐに彼に肩を掴まれて後ろへ追いやられた。

「心配するな。あんな愚鈍な石人形の攻撃など、もはや見切っている」
「は、よう言うたわ!」

巨大ゴーレムから顔を出した呪術師が吠える。

「貴様が愚鈍と呼んだわしのかわいいゴーレムが、これで終わりと思うなよ!?」

ゴゴゴ……と地鳴りが鳴り響き、地面が揺れはじめる。

まだなにか攻撃の手段が……?と身構えて油断なく周囲を警戒していると、アスター王子が抜いたバスターソードを横薙ぎに一閃。すると、斬られた空間が光り輝き、たちまち周囲へ広がって地鳴りを収めた。

「言っただろう、攻撃など見切った、と。あんたがどんな攻撃を仕掛けようと無駄だ」

アスター王子は呪術師へ、冷え冷えとした口調で言い切った。

そして、彼は捕らえたゴーレムのそばにさらに近寄る。

「大人しく捕まれ。これは最後の警告だ。命大切ならばな」

淡々とアスター王子が最後通告をしてくださったのに、呪術師はその言葉を鼻で笑い、軽くあしらった。

「はん!このわしに大層な口をきくじゃないか!?貴様らこそ自らの生命を心配したらどうじゃ!」

この期に及んでも、呪術師は変わろうとはしなかった。