まっすぐにではなく、なるべくジグザク走行。そして、王城から引き離していった。
「おのれ、ちょこまか逃げおって!!」
巨大ゴーレムの右手から、火炎放射が放たれる。
「アクア!」
「ブヒッ!」
アクアとともに、回避行動。
今のわたしには、魔力の動きがなんとなくわかる。
一度火炎放射が脇をかすめたけれど。アスター王子から贈られた指輪のおかげで、わたしもアクアも無事に護られた。
(アスター王子、ありがとうございます)
そして、数分間に渡る巨大ゴーレムとの鬼ごっこは、終わりを迎える。
巨大ゴーレムの足元と頭上に、巨大な魔法陣が出現。
光り輝くそれから円柱が生じ、ゴーレムを檻のように閉じ込めた。
「な……なんじゃ!?動けん!!」
呪術師がいくらゴーレムを動かそうとしても、無駄だった。
わたしとアクアが見上げている横で、アスター王子がファルコに乗って並ぶ。
「ミリィ、よくやった。おかげでゴーレムを止められた…ありがとうな」
「いえ、騎士ならば当然のことです」
わたしの中ではあたりまえの事なのに、アスター王子は目を細めて…頭を軽くポンと叩いてくださる。その眼差しは優しくあたたかくて…なんだか胸がむず痒い。
そして、アスター王子はゴーレムへ向き直る。その目はわたしに向けるものと違い、冷え冷えとしていた。
「さて、呪術師よ。見当違いの逆恨みは晴らせたか?これだけ好きに暴れておいて、よもや無罪放免になるとは思うまい?」



