【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


まっすぐにではなく、なるべくジグザク走行。そして、王城から引き離していった。

「おのれ、ちょこまか逃げおって!!」

巨大ゴーレムの右手から、火炎放射が放たれる。

「アクア!」
「ブヒッ!」

アクアとともに、回避行動。
今のわたしには、魔力の動きがなんとなくわかる。

一度火炎放射が脇をかすめたけれど。アスター王子から贈られた指輪のおかげで、わたしもアクアも無事に護られた。

(アスター王子、ありがとうございます)

そして、数分間に渡る巨大ゴーレムとの鬼ごっこは、終わりを迎える。

巨大ゴーレムの足元と頭上に、巨大な魔法陣が出現。
光り輝くそれから円柱が生じ、ゴーレムを檻のように閉じ込めた。

「な……なんじゃ!?動けん!!」

呪術師がいくらゴーレムを動かそうとしても、無駄だった。

わたしとアクアが見上げている横で、アスター王子がファルコに乗って並ぶ。


「ミリィ、よくやった。おかげでゴーレムを止められた…ありがとうな」
「いえ、騎士ならば当然のことです」

わたしの中ではあたりまえの事なのに、アスター王子は目を細めて…頭を軽くポンと叩いてくださる。その眼差しは優しくあたたかくて…なんだか胸がむず痒い。

そして、アスター王子はゴーレムへ向き直る。その目はわたしに向けるものと違い、冷え冷えとしていた。


「さて、呪術師よ。見当違いの逆恨みは晴らせたか?これだけ好きに暴れておいて、よもや無罪放免になるとは思うまい?」