やはり、呪術師のゴーレムは圧倒的巨大さだ。瘴気を纏っていることもあり、他のゴーレムより迫力が違う。
でも、とわたしは呪術師がいるだろう場所を見上げ、腹の底から最大限に声を張り上げる。
「呪術師よ、ゴーレムを止めなさい!このまま罪を重ねることはおすすめしない!」
「は、なにが罪だ!」
わたしの目論見通りに、呪術師はわたしの姿を見て反応を返してきた。
呪術師は今までの会話ではわたしをエストアールの娘と呼び、異様なこだわりを見せていた。おそらく過去にエストアール家となんらかの確執があったんだろう。それを最大限に利用する事にした。
「誰もわしを断罪などできんわ!すべて破壊し尽くし、殺し尽くせばな!!」
ゴーレムの手がゆっくりと持ち上がり、手のひらが光る。異様な熱量を感じた瞬間、アクアの横腹を蹴りすぐに回避行動を取った。
炎がこちらへ向かい、一直線へ放たれる。火炎放射をギリギリのところでかわしたものの、石でできた王城の一部が破壊され、火の手が上がる。
(まずい……このままでは城が燃えてしまう)
物理的な破壊行為しかできないと思っていたゴーレムが、まさか魔術攻撃を仕掛けてくるなんて。完全に予想外だったものの…ならば、なおさら王城から引き離さねば。



