【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


ソニア妃のということは、ノプット王家由来でもある。そんな貴重な指輪をわたしだから、わたしにだけ渡したい、と。

なんだろう……

宝石とかあまり興味は無かったはずなのに、この指輪がどんな宝石よりも輝いて美しく見えた。

アスター王子の防御魔術がかけられていたからじゃない。

きっとこれがただの石や木彫りの指輪でも、わたしには一番綺麗に見えるに違いない。

「ありがとうございます、アスター王子」

指輪を指に填めると胸が暖かくなり、自然と頬が緩むのを感じた。
たぶん、笑顔をアスター王子に向けていたと思う。
彼の顔がより赤みを帯びて、ゴホンと不自然な咳ばらいをしていた。

「……オレ以外に、そんな顔を見せるなよ」
「えっ、なにかおっしゃいましたか?」

小声でボソッとなにか言ったから訊き返してみたけど、彼は「なんでもない!」とファルコの横腹を蹴って一歩先へ抜け出した。何なんだろ?

「もうすぐあのゴーレムに接近する。作戦通りに頼むぞ!」
「はい!」

呪術師のゴーレムは王宮にあと少しのところにまで近づいている。あの巨体だと王城を破壊する事など造作もないだろう。

「アクア、行くよ!」
「ブヒッ!!」

愛馬とともに、ゴーレムを追い抜いて先回りを果たす。
そして、再び呪術師と相対した。