【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


「ミリィ、ひとまずあのゴーレムの足止めをするぞ。進行方向へ先回りして、呪術師の気を反らせるか?」

アスター王子からそう言われたら、もちろん返事は一つ。

「はい、お任せください!全力で気を反らせてみせます。アクア、行くよ!」
「ヴヒッ!」

わたしが愛馬の横腹を蹴って加速しようとすると、アスター王子から呼び止められた。

「待て、ミリィ。これを持っていけ」

彼から光るものが投げられ、慌てて受け取る。それは…指輪?シンプルなデザインだけど、七色に輝く宝石がはめられた美しい指輪だった。なんとなくだけど暖かい魔力をほのかに感じる。

「アスター王子…これは?」
「母上から……だが、オレからでもある」

馬上のアスター王子はそんなふうに言うけれども、意味がわからない。彼はなぜか視線を逸らすしわずかに顔が赤い。

「ソニア妃の……となると、王家由来ですよね?そんな貴重なものをいただいてしまっては」
「ミリィだから、オレは持っていてほしいんだ」

アスター王子が真剣な眼差しを向けてきて、ドキッと胸が鳴った。

「その指輪にはメダリオンよりさらに強い防御魔術がかけてある。確かに母上が代々受け継いできた貴重な指輪だ…だが、オレはミリィだから持っていてほしい。おまえにしか渡したくない」